ワイヤー矯正とは、歯の表面に「ブラケット」といわれる装置をつけて、そこにワイヤーを通し、正しい位置に歯を動かしていく矯正方法です。「ブラケット矯正」と言われることもあります。歯科矯正の中で最も一般的な治療法です。
今回は、ワイヤー矯正についてメリット・デメリットを通して、その特徴について詳しく解説していきます。
⒈ワイヤー矯正のメリット
・歯科矯正の中で最も一般的でその歴史も古く、実績のある治療法
矯正治療をするからには、しっかりと歯が理想の位置に移動し、理想的な歯並びになる事が目的になります。目的をしっかり達成できるかどうかは最も重要になります。
実績の多いワイヤー矯正は、比較的安全・確実であり、信頼できる治療法だといえます。
・適応できる症例が多い
ワイヤー矯正は、様々な歯並びの矯正治療に適応できます。例えば、マウスピース矯正は,
噛み合わせや歯並びが大きく乱れているような症例や、抜歯を伴うような歯の移動距離が多い症例には向いていない事があります。一方でワイヤー矯正なら、ほとんどの歯並びの矯正治療に対応することができます。
⒉ワイヤー矯正のデメリット
・矯正装置が目立つ
歯にブラケットという装置を付け、そこにワイヤーを通して、歯を動かしていく治療法です。多くは、表側矯正といって、歯の表側にブラケットとワイヤーが見える状態になるため、口を開けた時に装置が目立ってしまいます。同じワイヤー矯正でも、装置を目立たなくする方法として、裏側にブラケットを装着する方法や、白や透明の装置を利用した方法が利用できるケースもあります。ただし、適応可能かどうかは、担当の歯科医師に確認する必要があります。
・治療時に痛みが出やすい
矯正治療は歯を動かす治療なので、少なからず痛みが生じるものですが、ワイヤー矯正は特に痛みを生じやすい治療方法です。その分確実に歯を動かしていると言えるのですが、器具装着時やワイヤーの交換時・調整時は、当日から3日ほど痛みを感じやすくなります。
また、ブラケットが頰の粘膜や唇の内側に当たるため、口内炎ができてしまい痛みを生じることがあります。
・虫歯になりやすい
ワイヤー矯正は、完全固定式の装置になるため、装置の周りに汚れが溜まりやすくなります。歯磨きがしづらく虫歯のリスクが高くなります。せっかく歯並びが整っても虫歯で歯がボロボロになってしまっては意味がありません。装置の隙間などが磨ける専用の歯ブラシを使って、丁寧に歯磨きをする必要があります。
3.ワイヤー矯正の種類
ワイヤー矯正には、「見た目が目立つ」というデメリットがありますが、できるだけ装置を目立たなくさせた装置もあります。歯に取り付けるブラケットの違い・取り付け方に違いがありますので紹介します。
・メタルブラケット矯正
ワイヤー矯正で歯に装着するブラケットが金属でできたもので、最も一般的なものです。
銀色の金属なので、どうして装置の色が目立ってしまいます。丈夫で壊れにくく、装置が破損する事が少ないため、歯を大きく動かす場合に適しています。また、金属アレルギーの方に利用できないというデメリットがあります。
・審美ブラケット矯正
その名の通り、審美性を重視したブラケットが使われるものです。プラスチックやセラミックでできたブラケットを使用します。ブラケットが白や透明なので、装置が目立ちにくいというメリット・金属アレルギーの方でも利用できるというメリットがあります。適応できない場合もあり、メタルブラケット矯正よりも費用が高くなる事もあるので、よく相談してから行う必要があります。
・裏側矯正
従来表側に装着するブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着する矯正方法です。「舌側矯正」や「リンガル矯正」といわれることもあります。また、上顎は裏側に、下顎は表側に装着する「ハーフリンガル」という方法もあります。矯正装置が目立ちにくいというメリットがあり、前歯を内側に引っ込めたい場合など、特に適している症例もあります。しかし、表側の矯正と比べて治療費が高くなることが多いです。また、舌近くに装置が来るため、食事がしづらい・発音がしづらいなどの問題が起こることがあります。どうしても装置が目立つのが嫌だという方は、この方法を相談すると良いでしょう。
4.まとめ
ワイヤー矯正は、矯正治療の中でも実績が多い、代表的な治療法です。様々な症例に適用でき、確実に歯を動かす事ができます。一方で、矯正装置が目立つというデメリットは大きく見た目を気にする方は、矯正治療を躊躇してしまう事もあります。しかし、今回紹介したように、目立たない方法で行えるワイヤー矯正もありますし、矯正治療を積極的に受ける方も増えたため、周囲の方が、装置が見えても気にしないという事もあります。矯正治療を希望する方は、一度ワイヤー矯正について相談してみると良いでしょう。